8月30日(金)・第131話
遂に、影武者発覚の時。
「潮騒のメモリー」レコーディングで、アキのお手本として急遽歌わされる春子。そこへ入ってくる鈴鹿ひろ美。
太巻が何やら携帯をポチポチやっていたり、チラチラ時計を気にしまくっていたのは、鈴鹿さんを待っていたのですね。
初めて春子の歌う姿を見、声を聞き、瞬時にすべてを理解する鈴鹿さん。
おそらくずっと確信めいたものは持っていただろうけど、でもそれを、間違いない真実として眼前につきつけられるのとではまったくわけが違う。
そのことにショックを受けているような、遂にこの日が来たかという覚悟があったのは見えつつも、ああ、やっぱりそうだったんだと知ることで、どこか傷ついているようでもあり、あらゆる感情がパパパッと一瞬でかけめぐるのがわかる表情。非常に素晴らしかったです。
複雑だよね、鈴鹿さんも。そりゃある頃からすべてを察知してはいただろうけど、どうして今ここでそれなのか。アキ主演で「潮騒のメモリー」が完成し、太巻の過去へのこだわりが溶け、もうそれでいいんじゃないかと思っていたのかもしれないし、でもいつかは、もっと完全なる解決をしなければならないと実は覚悟していたのかもしれない(何しろ春子とアキが側にいるのだから)し、そして真実を聞くなら太巻から直接聞きたいと思っていただろうし、それでもやはり真実を告げられるのを少し恐れているような、そんな意味合いをすべて含んだ「…どうして今更?」という言葉なのかなと思うと、深い。ずっと聞きたかったであろう太巻の答えを促すための問いでもあり。
この一連のシーンのひろ子の演技は、圧巻といっても良いかと思います。
さまざまな感情が噴き出すのがよくわかる。そしてそれを誰にも当たらず、誰のせいにもせず、自分で回収することのできる女性だというのがよくわかる。
スタジオから出てきた春子に、「あーっ!私だ!」(これ、NTT百年目の電話生活CMのプロローグだか第一話だかの「エライ!」を思い出したわ)と指差してちょっとおどけてみせるも、おどけきれずに、すぐさま罪悪感が表情を覆い尽くす。この切り替え。
本当は鈴鹿さんには責任はないのだけど。鈴鹿さんの音痴が原因であっても、それは責任ではない。鈴鹿さんが春子を巻き込みたかったわけではない。
それでも鈴鹿さんは春子に謝る。自分の影で表舞台に出られなかった少女へ。
「ごめんなさいね。…私のせいで表舞台に出られなかったんですよね。…ごめんなさい」。
おそらくもう影武者=「潮騒のメモリー」カバー希望女だというのは理解しているだろうし、それを拒否ったこと(現実には、鈴鹿さんが何を言うより前に太巻が拒否していたという話だけど)も頭にあるだろうし、今も太巻と付き合っている説が本当ならば、太巻とは一連托生だと思っているだろうから、責任はなくとも、そこに罪悪感を持たないはずもなく…。
アキからいつから(影武者のことを)知っていたのかと問われて、「…いつかしら…ずっと前のような気もするし、今のような気もするし…」と、遠い日々に思いをめぐらせるような、どこか悲しげな、しかし凛とした横顔が、一種、気高さすら感じられて、最高に良かったです。
あれはおそらく今までアキが見たことのなかった鈴鹿さんの素の一面だったろうと、そんな気が。
勿論、対する春子も、鈴鹿さんの姿を認めて、遂に見つかってしまったと、ショックを受けているようなどうしていいかわからないような、なんとも心許なげな表情が素晴らしい。
決して春子も鈴鹿さんに真実を告げたかったわけではない、鈴鹿さんをどうこうしたかったわけじゃない(性格悪いということにはしたがってたけど。笑)、そして影武者として絶対鈴鹿さんには見つかってはいけないという太巻との約束を、いまだに忘れていない、いまだ身に染み付いたまま、あの頃の気持ちに縛られたままだというのがよくわかる、まるで少女の頃そのもののような表情でとても良かった。
この春子と鈴鹿さんの視線が交じり合う瞬間が、実に絶妙かつ最高のタイミングで、なんともいえぬ切なさとやりきれなさが漂って、ジワーンときました。結局は、どっちも業界の思惑の被害者なんだよねって。おそらく影武者当時に出会ったとしても、きっとこんな表情をしたんだろうなと思える表情でした、二人とも。
正直今まで、どれだけ顔つきや口調が似ていたとしても(本当によくあんなに似た子を見つけたと思う)、イマイチあの若い春子の姿と今の春子の姿が重ならず、どうしても乖離していて違和感あったんだけど、このシーンで初めて、若い春子と今の春子がピッタリ重なって違和感がなくなったような気がします。自分の中で。
ただなあ鈴鹿さんにしてみれば、真実を知らされるにしてもさあ、もうちょっと極力当事者だけの人数とかさあ…。しかも不意打ちで真実告げられるって、どうもこのドラマは不意打ち演出が多いけど、今回の太巻の鈴鹿さん呼び出しは、春子上京時の、太巻を不意打ちで呼び出した鈴鹿さんと対になっているのはわかるけど、なんだか鈴鹿さんも被害者の1人なのに、当事者以外の前でも加害者として晒し者にされているようでちょっと気の毒…。もうちょっと心の準備をさせてあげればいいのに太巻も…。
でも太巻が鈴鹿さんを呼び出して、まず先に鈴鹿さんに真実を告げて謝ってから、次に春子に対して二人で謝るという順序が、まあ当然といえば当然かもしれないけど、なんとなく二人の一蓮托生ぶりを思わせて、ひいては二人の絆を感じさせるようで良かったです。
この回は東京編における最大のクライマックスかと思いますが、一つだけ難を言うとすれば、アキの「知ってましたよね?」と鈴鹿さんに問うセリフは余分だったような…。
太巻がご存知でしたよね?と既に聞いているんだから、同じことをアキからダメを押させる必要もなかったのでは。太巻のその言葉を受けて、いつから?とだけ質問させるのは可能だったと思うし、仮にアキが鈴鹿さんのフリに気が付いている展開は変えられないとしても、そこは敢えてアキに口にはさせずに、あとで春子にだけそれを伝えれば、春子との母子としての絆や信頼を感じさせるし、鈴鹿さんへの気遣いも感じさせて良かったような。
私も気づいてましたよ、と示した上で更にいつから?と突っ込むのは、いくら春子の娘とはいえ、鈴鹿さんを追い込むやり方で、いささか無情ではなかろうか。
その問いに、明確には答えず、さあいつだったかしら…と鈴鹿さんが答えを濁したのは、非常に含蓄があって、だからこそ尚更、3人の間にある25年の歳月を知りようもないアキがその場で踏み込んでいい、追い込んでいい領域ではなかったと、そういう気がして。
…つか、アキに感謝しなくちゃってのはいいけどさ、いいセリフだけどさ、鈴鹿さんに出会えたというセリフが、春子の鈴鹿さんへの和解の言葉というのはわかるけどさ、和解したなら、いい加減、鈴鹿さんにきちんと礼を言えよ、アキのことで!母として、社長として。まったく親子して、頑としてありがとうと言いたがらない二人だな!(笑)てっきり春子と鈴鹿さん、二人ソファに並んだシーンで、そういう会話がくるのかと思ったら。アキもクランクアップ挨拶でママがママがって言ってたし、母と娘の間だけで完結してないで、ちゃんと周りにも気を配れ!…と突っ込んでおく(笑)。鈴鹿さん寄りだから私(笑)。
ところで、今回のひろ子の映り具合からして、今回のシーンは、映画撮影シーンよりも前に撮影されたんじゃないかと推測するのですが…どうだろう。なんとなくそんな気が~。
8月31日(土)・第132話
夫……。
籍を入れているのか入れていないのか、鈴鹿さんの野望からしてまだ未入籍だろうと私はふんでいるけれど、しかしこれはもう同居は梅さんの勘違いではなく、確定事項…ってことでいいんでしょうかね。
ううーむ、だとしたら東京編序盤での会話はいったい…と思ったけど、思うに、おそらく自宅での太巻は、正宗みたいな料理得意なデキる夫。鈴鹿さんへの甘々な態度からしても、尻に敷かれてそうな感じからしても(笑)、なんか正宗っぽそうな気が。だから鈴鹿さんは料理をしない(いつだったかの差し入れクッキーも太巻手製だったら笑う)→ゆえに、太巻が仕事で忙しい時は外食=無頼鮨へ通う→太巻はどこに通っているかまでは詳しく知らなかった、という単にそれだけのことだったのかなあと予想。で、本来はラブラブ(今にして思えば、太巻と鈴鹿さんの初めての無頼鮨でのシーン、鈴鹿さんがえー帰っちゃうのーーと妙に親しげな声だった理由がよくわかる。親しげも何も、恋人だったからなのね…)なのでそれを隠すために、外では敬語使いで他人行儀にふるまっていたのかなと。時として酔っ払った鈴鹿さんがボロを出しそうになるけれども(笑)。
そうやってお互い仕事が忙しいから、なんだか鈴鹿さんにロンリーな気配が漂っていたのか?とかいろいろ考えちゃうけど、まあ私の予想なんて当たりゃしないのでどうでもいいとして、なるほど、夫としてはいいけど、仕事のパートナーとしては限界って、いつかアキに語っていた、恋愛も仕事もというのは1年も続かなかったという話は、そういう意味だったのかと納得。だから恋愛だけの関係にした、と。
…そりゃ後悔しないよーー(笑)。仕事上での関係を解消したとしても、私生活では二十数年間パートナーのままでいられるんだもん。…つか、すると、あのアドバイス、アキにとって本当に有益だったといえるのかどうかすご~く心配(笑)。
あ、アキを付き人にしろとか、「潮騒のメモリー」リメイクオファーとか、仕事の話をわざわざ無頼鮨でしていたのは、自宅には仕事を持ち込まないとか、そんなルールでもあるんだろーか。それとも単なるドラマ上の演出なだけか?
鈴鹿さん「いったらんかい!みたいな!?」とかなんとか、スゴイ目つきして(笑)関西弁くりだした後、目をパチクリするのが、すっげーーー可愛かった!!
あら?こんな風だったかしら…?って最後、ハタと天井をあおぐ感じが(笑)。あれきっと太巻の真似してるんですよね、関西弁(笑)。
鈴鹿さんが春子の事務所に入りたがるって、そこまでの展開要るんかなあ…と思うけど、どうなるのかな。何もそこまでしなくても…(脚本的に)と思うのですが。
…って、あれ?そういえば映画の舞台挨拶シーンはないのか。前髪クネ男はあれで終わりか~残念。
春子は、アキにはありがとうと言うのねえ…。
美しき母子愛だけど、鈴鹿さんは先輩になるのかな?後輩になるのかな?と考えるアキに、どうせタメ口でしょって、それで終わりか春子!それだけか!(笑)
日付は3月11日。
やっと待ちに待った東京を目指して、北鉄に乗り込むユイちゃん。
日付を見ても予告を見ても、ああ避けられない描写が遂にくるのだなとわかるけど、考えたら大吉が一緒にいるんだから、ユイちゃんはきっと大丈夫。大吉がきっとなんとかしてくれる、と思いたい。
久々のあんべちゃん登場、嬉しかった。
あと残り一ヶ月。早いなあ…。