良い映画
…でした。笑うとか泣けるとか、そういう言葉だけでは物足りないような、”良い映画”と言いたくなるような映画。
2時間なんてあっという間。終わった後、拍手するに値する映画だと思ったし、実際したかったんだけど、鼻水垂れるほど泣いてしまって、それなのに握り締めていたのはハンカチで、もう鼻かみたくてかみたくて、映画終わった瞬間は、鼻すすったり涙ふいたり、ティッシュティッシュとカバンの中を漁るのに必死(さすがに映画の最中にはできないしさ…。あの静かな場面で盛大に鼻をすするわけにもいかないし、相当困った状態でした)であせってて拍手しそびれて。私が今までで一番泣いた映画は「チャンプ」なんだけど、あれ以来の泣きだったかも…。これ家で見てたらヤベー声出して泣いてたかも…みたいな。なんであんなに泣けてくるのかわけわからんけど、脱力するくらい映画館で泣くってほぼ初めての経験だったような…。全然泣くつもりはなかったんですけどね。たぶん泣いてもちょっとウルっとくるぐらいだろうと予想してたんだけど、とんでもない、私が甘かったです(笑)。
そして何より、映画の余韻がね……あの圧倒的な感情に支配されたまま抜け出せなくて、ボーっとしてしまった部分もあって。なんか夢から全然醒めないというか。普通、見てる間は夢中でも、終わって場内に明かりがつけば、それなりに夢から醒めるもんなのに、こんなのって相当珍しい。帰ってからもなんだかずっと映画のことを考えてたりして、すっごい無口に…(笑)。あの二人はこれからどうするんだろうとか、夫婦のこれまでの10年間はどんなだったんだろうとか、ついつい思いを馳せてしまって、こんな余韻に浸ることを覚悟していなかったものだから、ちょっとビックリしました。我がことながら。
だけど、泣けるから良い映画ってわけでもなくて、なんというのかな、その泣いたり笑ったりキャラクター達の感情が画面からあふれてくるのが凄いって言うのかな。元は舞台劇だというし、映画の中でも、なるほどこれは舞台っぽいという場面はあるけれど、だけどあの感情の洪水は、やはり映画館の大画面で見てこそ味わえる迫力なのかもしれない、という感じもあります。絵的にも、沖縄の映像とか映画ならではの広がりと美しさをちゃんと感じられたし。室内セットの奥行き感も良かったです。
2度見たくなる映画だと監督は言っていたけど、伏線を確認する意味だけではなく、単純にあの夫婦をまた見たいという欲求が自分の中では強い。
映画館を出た後、もうこれは絶対また見ようと心に決めて。幸いにもライブ会場でポスターにつられて買った前売り券(笑。いや、元々ライブ翌日にでも前売り券買いに行こうかなとは思っていたんだけど。でも会場で買えばポスター付きだと知って即座に買ったわ。部屋にポスター貼る年齢でもないのに…)があるので、確実にもう1回は見る。でも2回でも足りなそうな感じ。もっともっとあの二人の姿を見ていたいんだよね…なんか。エンドレスで見たいというか…。
私は母親役というのは、ひろ子の母性という特徴を生かすのに最適な役柄だと思っているし、年齢からいっても無理に避けるのは不自然だから、これからもどんどん母親役をやって欲しいと思っているのだけど、でも母親役の時には、全部とはいわないまでもある程度はやはり潜んでしまう個性というのが勿論あって。
それは言うまでもなく、あの可愛さのことであって、その”可愛い薬師丸ひろ子”が存分に解放されている役柄を見られたことは、久方ぶりの幸せでした。どっぷりひろ子ファンな人も、昔ちょっとだけ好きだったことがある人も、かつて一度でもひろ子をいいなと思ったことがある人は、ぜひこの映画の薬師丸ひろ子を見て欲しい。…と、そう思える作品です。
そして何より作品として、見る価値のある映画です。
そんなこんなで、本当は微にいり細に入り書きたいんだけど、ネタバレ有りの感想は2回目を見て、もう一度確かめてから…かな。次は絶対ハンカチじゃなくて、ティッシュを握り締めて見ることにするわ。